逃亡犯条例改正をめぐり香港で大規模デモ!改正の問題点は?
こんにちは。ふさねこです。
最近、香港での大規模なデモの様子がたびたび報道されていますね。デモの主催者によると200万人参加したのだとか。香港人口は、約750万人ですから、1/4を超える人々が参加したことになります。
このデモは、逃亡犯条例の改正に反対して行われています。
では、逃亡犯条例とは何でしょうか?
逃亡犯条例とは、香港以外の国や地域で犯罪に関わった容疑者を、その国や地域の要請に応じて容疑者の身柄を引き渡すよう定められたもので、協定を締結すれば、その相手の国・地域に身柄を引き渡せるようになります。
現在香港は、アメリカ合衆国など20ヶ国と協定を締結していますが、中国本土・マカオ・台湾とは締結していません。
つまり、香港は、たとえ香港に容疑者がいたとしても中国本土・マカオ・台湾への容疑者の引渡しはできないのです。
香港政府は、このことを問題視して今回の改正を進めたようです。
今回の逃亡犯条例改正で香港政府は、香港で身柄を拘束された容疑者を中国本土に移送できるようにしようとしました。また、この改正は、協定を締結していない国や地域にも容疑者の身柄を引き渡しを可能にしうるものです。
これだけ聞くと、改正は犯罪捜査のための必要な措置にも思えます。なぜ、改正反対デモが起きているのでしょうか?
それは、中国における香港の立ち位置に関わります。
中国は、一国二制度を採用しています。一国二制度とは、中国国内においても香港が、中華人民共和国香港特別行政区として、社会主義の中国とは異なる政治・経済体制を維持することを認めた制度です。
香港は、香港の憲法にあたる香港特別行政区基本法(香港基本法)により、外交と国防問題以外では高度の自治が認められており、社会主義体制ではなく民主主義・資本主義制度を採用し、これが50年続くことになっています。
また、香港基本法では、中国本土では制約されている表現の自由・集会の自由・信仰の自由などの自由権が明記されています。
とはいえ、香港では選挙権は制限されているため、デモが市民の意見表明の重要な手段なのでしょう。
反対派は、今回の改正でこの一国二制度が事実上崩壊するのではないかと懸念しているようです。
引き渡し対象となる犯罪は限定するとされていますが、事実上、香港市民が中国政府取り締まりの対象になる危険性や香港基本法で保障された自由が奪われる可能性もあります。
また、一国二制度が崩壊し香港の根幹が揺らぐと香港経済にも悪影響を与えると懸念しているようです。
個人の考えですが、一度条例改正をしてしまえば、おそらく引き渡し対象になる犯罪の範囲は容易に改正できるでしょうし、また、その範囲も改正なしに解釈だけで拡大できると危険があると思いますから、改正に警鐘を鳴らす人が多いのもうなずけます。
この大規模なデモを受けて香港政府は、改正の延期を発表しました。政府は懐柔策のつもりだったのでしょう。
しかし、香港市民は、改正を"延期"したことに対して"完全撤回"を求めてさらにデモは激化しました。
香港政府は、ついに改正の無期限の審議の延期を表明して事実上撤回したと思われます。
完全撤回には至っていませんが、香港市民の行動で政府を動かしたことに違いはありません。
最後に、偉人の名言を引用したいと思います。
「沈黙を守っている知恵、あるいは発言する力なき知恵は無益なり。」
フランスの哲学者・政治哲学者 ルソー
「自由なる人々よ、この言葉を忘れるな。我々は自由を得るかも知れない、しかし一度それが失われると取り戻す事はできぬ。」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。