徒然ゆるらかレポート

学生。疑問に思ったこと・興味のあることをレポートします。

賭博の罪

こんにちは。ふさねこです。



賭博行為というと競馬などが身近にあり、最近は競馬のCMをよく見かけます。これはもちろん競馬が賭博罪にあたらないからできることであり、犯罪を推奨しているわけではありません。
では、賭博の罪にはどのような種類があり、どのような行為が該当するのでしょうか。

賭博の罪は社会的法益に対する罪のうち、風俗に対する罪に分類されます。
勤労の美風を法的に保護される利益としており、賭博の罪を犯した者は、勤労の美風を害したことになります。



判例(最判S25.11.22)も

「賭博行為は、一面互に自己の財物を自己の好むところに投ずるだけであって、他人の財産権をその意に反して侵害するものではなく、従つて、一見各人に任された自由行為に属し罪悪と称するに足りないようにも見えるが、しかし、他面勤労その他の正当な原因に因るのでなく、単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは、国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風(憲法27条1項参照)を害するばかりでなく、甚だしきは暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらあるのである。これわが国においては一時の娯楽に供する物を賭した場合の外単なる賭博でもこれを犯罪としその他常習賭博、賭場開帳等又は富籤に関する行為を罰する所以であって、これ等の行為は畢竟公益に関する犯罪の中の風俗を害する罪であり(旧刑法第二篇第六章参照)、新憲法にいわゆる公共の福祉に反するものといわなければならない。」

として賭博行為やそれに関する行為を処罰に値するとしています。





単純賭博罪
刑法第185条 
賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。



原則、賭博をした場合には、その金額に関係なくこの単純賭博罪が成立します。賭博とは、偶然の勝敗に関して財物を賭けてその得喪を争うことです。

具体例としては賭け花札や賭け麻雀が挙げられます。競馬や競輪、宝くじなどは、特別法で違法性阻却されているため、本罪は成立しません。


ただし、その例外として、「一時の娯楽に供する物」を賭けた場合には本罪は成立しません。
「一時の娯楽に供する物」とは、食べ物や飲み物、タバコなどが挙げられます。例えば、じゃんけんで負けた人がジュースをおごっても本罪は成立しません。





常習賭博罪
刑法第186条1項
常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。



これは賭博を常習的に行った場合には本罪が成立します。懲役は最も短くて1ヵ月なので、原則は1ヵ月以上3年以下となります。

常習的に賭博をすることは、単純賭博罪よりも悪質性が高いため、刑が加重されます。





賭博場開帳図利・博徒結合図利罪
刑法第186条2項
賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する。



賭博場の開帳とは、賭博を主催してその場を提供することです。

結合とは、自分が中心となって常習的・職業的に賭博を行う博徒との間に親分・子分の関係を結び、一定の区域(縄張り)において賭博を行う便宜を提供することです。

本罪の成立には、どちらも利益を得る目的で行ったことが必要です。




賭博の罪は以上の3つがあります。

このように見ると、友達とのゲームでふざけてうっかり金銭を賭けてしまい賭博罪が成立してしまっていたなんてこともありそうですね。

法律に明るい人は当然に犯罪か否かの線引きができるはずですが、そうでない場合の自己判断はもしかすると危険なのかもしれないですね。法律に詳しくないため犯罪だとは知らなかったという事情は犯罪の成立を妨げませんから、賭博の罪の内容を知って自身の行為が犯罪か否かの線引きができようにしておくのもよいと思います。





最後までお読みいただき、ありがとうございます。